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先人からの贈り物、黒松内の歌才ブナ林で秋を楽しみ、思うこと。

先人からの贈り物、黒松内の歌才ブナ林で秋を楽しみ、思うこと。

黒松内町の「歌才ブナ林」は国の天然記念物

「歌才ブナ林」は黒松内(くろまつない)付近を境にこれより北には分布していない北限のブナ林です。黒松内市街地に近い場所に92ヘクタールものブナ林がほぼ純林状態で自生していることが、学術的に評価され、昭和3年に国の天然記念物に指定され、一木一草、持ち出すことは禁止されています。

歌才ブナ林

9月の下旬、久しぶりに「歌才ブナ林」散策を楽しんできました。駐車場のある入口から800m歩いた所に歌才川があり、橋を渡ったところからが天然記念物のブナ林です。「純林」と言っても、ブナの他にミズナラやシナノキ等が混じっているので、はじめのうちは見分けるのが難しいかもしれませんが、樹種名を書いてある看板がついている木を見つけ、樹皮や葉等の特徴を観察すると良いでしょう。

ブナの樹皮は灰白色でとても滑らかですが、緑、黄色、暗灰色等の地衣類の斑紋がモザイク状に広がり、独特な雰囲気をつくりだしています。一般に木々の葉は縁がギザギザに尖っているものが多いのですが、ブナの葉は丸みを帯びた波状になっていて、葉脈が鋸歯(きょし)の凹んだ所に向かっているのも特徴的です。

ブナの葉

「一本のブナの木から8トンもの水が湧き出る。」とも言われるほど、ブナの森は優れた保水力をもち、「緑のダム」と呼ばれています。黒松内には他にもブナ林が散在しており、貯えた水が安定して流れ込む朱太川(しゅぶとかわ)には、清流しか生息できないヤマメやアユが棲んでいます。特にアユの食味を競う全国大会では最高の賞(グランプリ)を獲得し、全国的に評価されています。

林床の貴重な草花

約1時間で、林床の草花も楽しみながら散策路の終点まで行くことができます。往復2時間あれば余裕です。「歌才ブナ林」の林床はササが繁茂していますが、マイヅルソウ、ギンリョウソウ、ヒトリシズカ、ツクバネソウなど比較的珍しい草花も観察することができます。また目を凝らして見ると倒木のコケやキノコに神秘的な美しさを感じることができるでしょう。

二度の伐採の危機をのりこえて

国の天然記念物の「歌才ブナ林」ですが、ずっと安泰だったわけではありません。一度目の危機は太平洋戦争の末期(昭和19年頃)、戦局の悪化とともに国内の物資が不足し、飛行機も木で作るほかなくなり、プロペラ用の資材として供出されそうになった時です。二度目は昭和29年、村の財政赤字を埋めるための財源として記念物指定解除を働きかけた時です。いずれの時も、歌才ブナ林を愛する人たちが関係機関に必死に働きかけ、守りぬいてくれました。

「歌才ブナ林」は町民の心の支えです。自然は未来からの借り物。これからも大切に守りぬき、次代に引き継いでいきたいと思います。

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